2015年09月02日
から怒っては
「できるだけ早く、ジョル君を訪問される事をおすすめします」
言われなくても行くつもりだった。ジョルに説明しなければならない。
「ルシール姫との関係はいかがですか?」
コリンスは心配してくれる。
ルシールは別れ際にスケートに誘うくらいだいないのだろう。でも、スケートを口実に呼び寄せて言いたい事があるのかもしれない。
「ちょうど遊びに行く約束をしています。ジョルの後にルシールの所に行ってきます」
「それがいいと思います」
しかし、それには困った問題があった。
「あの、コリンス。今日の作戦の話をちゃんと覚えている?」
不意に不思議な事を聞かれてコリンスは立ち止まった。
「もちろんですが?」
「じゃあ、概要をまとめて私に提出して、今日中よ」
コリンスはメレッサを睨んでいる。
「皇帝に何か言われましたね」
コリンスは勘が鋭い。なぜわかるのだろう。
「何の話?」
首を振って、とぼけてみた。
「姫君、ルシール姫とおしゃべりしていたでしょう。それを皇帝に怒られましたね」
もうだめだ、全部見透かされている。コリンスって、ものすごく頭がいいんだ。
「お願い、私はジョルとルシールの所に行かなきゃならないの」
ちょうどいい口実になった、概要をコリンスに書かせればいい。
コリンスは考えている。
「わかりました。しかし、あす、ご自分で概要を書いてください。いいですね」
私も書くべきだと言うのか、コリンスは最近は部下じゃなくて先生みたいになってきた。
「わかりました」
メレッサは先生に答えるように素直に答えた。
自分の宇宙船に戻ると、その足でジョルの宇宙船に向かった。
ジョルは機嫌よく迎えてくれた。彼の部屋は驚くほど質素で、壁には艦隊の動きが分かるようにいろんな端末が綺麗に配置されていた。立体スクリーンには今も艦隊の動きが表示されている。遊ぶことしか考えていないメレッサの部屋とまるでちがった。