2016年03月04日

霊なんてもう出


 私は怒りよりも動揺の方が強かった。

 どこかで決着をつけなければならないと思っていた矢
先だったからだ。

 ただ、真実を話すことには抵抗があった。

「どうするもこうするもないわ。あんなの嘘に決まって
るじゃない。坊主ってああいう説教が好きなのよ」

「そう、だよね」

 私は佐優梨と一緒で良かったと思った。

 もしも一人だったら住職に全てを話ていたに違いない。

 非科学的な霊に怯えて、人生を台無しにしてしまって
いたはずだ。

 佐優梨は淡々とした表情で言った。

「お墓参りだってしたんだし、てこない
わ。なんなら、どこかで御はらいしてもらったらいいし」

 その手もあるな、と私は思った。

 霊が出て来ても御はらいをすれば退けられる。

 別に霊に怯える必要はないのだ。

 チャカラララーン。

 タリラリララーン。

Posted by 〆み  at 16:49 │Comments(0)

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