2015年06月08日
どうかわから
かっていたからできたのだ。
最初に好きになったのが男性で、次に好きになったのが彼の婚約者で、その次に好きになったのは二人の娘——しかも自分が保護者同然に面倒を見てきた子だ。客観的不育中醫にみれば、頭がおかしいと思われても仕方がない。気持ち悪いといわれても反論の余地はない。携帯電話を持つ手に力がこもる。
「引いただろう」
『すこしも驚かなかったといえば嘘になるけど、引いてはいないわ』
「…………」
『また食事に行きましょう。悠人さんさえ嫌じゃなければ、飲みにも』
何も気負ったところのない、普段どおりの声が電話を通して伝わってくる。
それでも素直に受け取っていいものかない。口では何とでも言える。すこしでも蔑む気持ちがあればいつか掌返しをされるだろう——そんな捻くれたことを考えながらも、こころは不思議と凪いだ海のように穏やかになっていた。それを自覚すると胸がじわりとあたたかくなる。
「涼風……その、ありがとう」
『どういたしまして』
彼女はくすっと笑って応じた。電話なのでもちろん声しか聞こえないが、そのときの彼女の表情が目に浮かぶかのようだった。
おやすみと言い合って電話を切ったあと、悠人はベッドに腰を下ろしてそのまま後ろに倒れ込んだ。固めのスプリングで体が揺れるのを感じつつ、なじみのある天井を見つめて吐息を落とし、目を閉じる。
会いたい——。
自然と湧き上がったその気持ち香港攻略を胸にいだきながら、悠人は再び眠りに落ちてい
最初に好きになったのが男性で、次に好きになったのが彼の婚約者で、その次に好きになったのは二人の娘——しかも自分が保護者同然に面倒を見てきた子だ。客観的不育中醫にみれば、頭がおかしいと思われても仕方がない。気持ち悪いといわれても反論の余地はない。携帯電話を持つ手に力がこもる。
「引いただろう」
『すこしも驚かなかったといえば嘘になるけど、引いてはいないわ』
「…………」
『また食事に行きましょう。悠人さんさえ嫌じゃなければ、飲みにも』
何も気負ったところのない、普段どおりの声が電話を通して伝わってくる。
それでも素直に受け取っていいものかない。口では何とでも言える。すこしでも蔑む気持ちがあればいつか掌返しをされるだろう——そんな捻くれたことを考えながらも、こころは不思議と凪いだ海のように穏やかになっていた。それを自覚すると胸がじわりとあたたかくなる。
「涼風……その、ありがとう」
『どういたしまして』
彼女はくすっと笑って応じた。電話なのでもちろん声しか聞こえないが、そのときの彼女の表情が目に浮かぶかのようだった。
おやすみと言い合って電話を切ったあと、悠人はベッドに腰を下ろしてそのまま後ろに倒れ込んだ。固めのスプリングで体が揺れるのを感じつつ、なじみのある天井を見つめて吐息を落とし、目を閉じる。
会いたい——。
自然と湧き上がったその気持ち香港攻略を胸にいだきながら、悠人は再び眠りに落ちてい
Posted by 〆み
at 12:02
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