2015年09月10日

愛想もない


「記念に、いいもん見せてあげようと思ってさ」

 いいもの……お前の口から出る言葉は、全て別の意味で考えねばならない。
 つまりなんだ。おそらくそれは僕にとってなんらかの危害を加えるか、それかもしくは僕を犠牲に自分だけが得をするような物か……

「ほら、見てみ」

 大魔女様が顎でクイと視線を誘導しips整形たその先には、大自然が人間に与える”もう一つ”の物があった。
 一つは寒気、薄い空気、険しい岩肌と言った山が下す人間への”試練”
 そしてもう一つ。それは試練を乗り越えた者にだけ与えられる、大自然が送る人間への”褒美”――――

「すっげ……」

「どお? あんたんとこじゃ絶対見れない”景色”でしょ」

 山の頂が与える物――――
 それは人間が自力ではどう足掻いても見る事の出来ない”空からの視点”であった。
 普段は空高く漂い、その量でその日の気候を判断される”雲”が、事もあろうに眼下に広がっているのだ。
 ”雲海”とはよく言ったものだ。それは波を漂わせる瑪姬美容 去印大原海のように、地平線に広がるまさに雲の海と呼ばれるにふさわしいものであった。
 この奇妙な逆転現象が生む物はそれだけではない。
 この高所からさらに空を見上げれば、雲という不純物を取り除かれた、混じりっ気のない正真正銘空の色。”蒼”の空間がそこには広がっていた。

「空って、こんなに青かったんすね……」

「ふふーん、語るじゃない。アホの癖に」

 一言余計な褒め言葉が素直に心に突き刺さる。
 確かに僕はアホだ。勉強もできなければ運動も苦手。社交性はなく為、他人と深い関係を作る事ができない。
 唯一あるのは、楽をしたいが故に行う無駄に小賢しいズル、怠惰、思考放棄――――
 しかしこの蒼の空間と白の海は、そんなアホでどうしようもない僕ですら、分け隔てる事無く包み込んでくれる。大自然の雄大さ……なるほどな。確かに雄大だ。
 人智を超えた大きさであるが為、逆に包み込む許容品牌維護量も人智を超えると言う訳か。
 誰に対しても厳しく、そして優しい。それは人が生まれた時に、最初に出会う人のそれ――――

Posted by 〆み  at 11:50 │Comments(0)

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