2015年07月06日
実はまだ中の

言葉通り、冷蔵庫は新しいものではなかった。門脇は…松下が自分に何か貸しを作るつもりでくれると言っているのではないかと誤解したことを馬鹿らしく思った。
「まだ中を掃除してなくて…。奥の部屋で座っていてください」
「いいです。そのまま持って帰ります」
「かなり長く使ってましたし…ものを移し替えてないんです。すぐすませるので、申し訳ないですが奥の部屋で待っていてください」
手伝おうと思ったが、小さな冷蔵庫に男二人がかかりきりという状況もおかしな気がして、掃除する松下を残して門脇は奥の部屋に入った。目を見張る。殺風景なキッチンと打って変わった物の密度홍콩현지여행사。
壁一面の本棚。天井まで詰まった本の群れ。どれも数学理論に関係した本屋雑誌で、門脇はふらふらと本棚に駆け寄っていた。図書館から借りて、そして焼いてしまった本もある。手に取りそうになり、慌てて引っ込めた。キッチンで冷蔵庫の片づけをしている背中に声をかける。
「本を見せてもらってもいいですか」
「本? どうぜ自由に見てください」
返事を背に、門脇は本棚に駆け寄ると夢のような蔵書に手をのばした。大学の図書館よりも欲しいものがそろっている。どうしてこんなに欲しい本ばかりがあるのだろうと思ったが、当然と溶脂瘦身
いえば当然だった。松下は門脇のゼミの教授を手伝っている講師。それに関係した著書がそろっていても当たり前なのだ。中には書店に注文し、まだ門脇の手許に届いていない本もあった。抜き取って、拾い読みする。読んでいるうちに夢中になり、松下が冷蔵庫の掃除を終えたことに気がつかなかった。
門脇を本の世界から現実の世界に引き戻したのは、窓辺のカーテンが鈍くはためく音だった。一瞬自分のいる場所を忘れて、どうして松下が椅子に座っているんだろうと不思議に思った。机の上に頬づえをついて、慌ただしくキーボードを叩いたかと思うと、ぴたりとやめる。本ばかりに気を取られて気づかなかったが、松下が使っ周向榮ているパソコンも去年、門脇が欲しくて欲しくてたまらなくて、でも手が出せるような値段ではなくて諦めた代物だった。
「そのパソコン、エクス社の07シリーズですよね」
「そうです」
「いいですね」
「使ってみますか」
憧れの07シリーズに触れられる、そう思っただけで、門脇は指先が震えた。いたずらに数式を打ち込む。図式やグラフもすぐに出てくる。速い。門脇がパソコンでの遊びに夢中になっている間に、松下は部屋の隅に移動すると本棚を背に雑誌を読みはじめていた。07シリーズの反応の速さに改めて感心しながら、やっぱりコレが欲しかったなと夢みたいなことを思いつつ振り返った時には、窓からのreenex膠原自生日差しは弱く、陰りを帯びはじめていた。一時間近くも夢中で遊んでいたのだ。だけど松下もそのことを指摘するでもなく、雑誌を読みふけっていた。
「すみません」